こんにちは、六本木アナリティクスエンジニアのTaku(@aelabdata )です。
開発現場では、「アジャイル」「スクラム」という言葉を頻繁に耳にします。特に、ビジネスの要求が目まぐるしく変化する現代において、ウォーターフォール(計画から実行までを直線的に進める手法)では対応しきれない課題が増えています。
データ分析やデータモデルの構築も同様です。ビジネスのニーズを予測し、完璧なデータ基盤を一度で作り上げるのは非常に困難です。
スクラム(Scrum) は、このような複雑で変化の激しい状況において、人々のチームが効果的に価値を提供するフレームワークです。
この記事では、スクラムの基本がすべて詰まっている公式ドキュメント「スクラムガイド」を参考に、スクラムが持つ独自の考え方、チームの役割、そして開発の進め方(イベント)を解説します。
スクラムの土台:価値基準と3つの柱
スクラムは、「経験主義(Empiricism)」(実行した結果から学び、知識を構築する考え方)に基づいて意思決定を行います。この経験主義を実現するため、3つの「柱」と、5つの「価値基準」があります。
経験主義のスクラムを達成するために、3つの柱があります。
- 透過性(Transparency): 作業プロセスや成果物、直面している課題など、開発に関わるすべての側面をオープンにし、隠さず明確にすること。
- 検査(Inspection): スクラムの成果物やプロセスを、遅延なく、頻繁にチェック(検査)すること。
- 適応(Adaptation): 検査によって許容範囲外の逸脱が発見された場合、すぐに修正や調整(適応)を行うこと。
スクラムの価値基準は、チームメンバーの行動規範です。これらの価値を実践することで、スクラムの3つの柱が機能します。
| 価値基準 | 意味 |
|---|---|
| 確約(Commitment) | チームは、目標達成に向けて全力を尽くすことを確約します。特に「スプリントゴール」達成に確約します。 |
| 集中(Focus) | スプリントの目標とスプリントバックログの作業に集中します。これにより、マルチタスクを避け、質の高い成果を生み出します。 |
| 公開(Openness) | 作業や課題、成功、失敗など、スクラムの作業に関するすべての側面をオープン(透過的)にします。 |
| 尊敬(Respect) | スクラムチームのメンバーは、お互いを能力のある独立した個人として尊敬し合います。 |
| 勇気(Courage) | 適切な行動をとる勇気、難しい課題に取り組む勇気、そして間違いを認める勇気を持ちます。 |
スクラムチームの構成:3つの明確な役割
スクラムチームは、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発者の3つの特定の役割(責務)を持つ人々で構成されます。チームは自己管理型かつ機能横断的であり、外部からの指示ではなく、自律的に作業を進めます。
| 役割 | 責務の焦点 | 主な役割 |
|---|---|---|
| プロダクトオーナー (PO) | 何を作るか(Why/What) | プロダクトの価値を最大化する責務を持つ。プロダクトバックログの管理と、項目の優先順位付けを行う。 |
| スクラムマスター (SM) | どう進めるか(How/Process) | スクラムのルールと実践が遵守されるよう、チームと組織を支援する。チームの障害を取り除く。 |
| 開発者 (Developers) | 実際に作る(How/Build) | スプリントのたびに「インクリメント(完成した成果)」を作成する責務を持つ。品質の維持と技術的な実装を行う。 |
スクラムのイベント:5つのサイクル
スクラムのイベントは、予測可能性と継続的な検査・適応を可能にするための「時間枠(タイムボックス)」が設定された、決まったサイクルです。
| イベント | 目的 | タイムボックス(上限時間) |
|---|---|---|
| スプリント (Sprint) | スクラムの心臓部。計画、実行、検査、適応をすべて含む期間。 | 1ヶ月以内 |
| スプリントプランニング | スプリントで何をするか、どうやって完成させるかを計画する。 | 8時間(1ヶ月のスプリントの場合) |
| デイリースクラム | 開発者が当日の進捗を検査し、次の日の計画を立てる。 | 15分 |
| スプリントレビュー | 作成されたインクリメント(成果)を検査し、フィードバックを得る。 | 4時間(1ヶ月のスプリントの場合) |
| スプリントレトロスペクティブ | プロセスとチームの改善点を検査し、次スプリントの改善策を決定する。 | 3時間(1ヶ月のスプリントの場合) |
スクラムの作成物:3つの成果物
スクラムの作成物(Artifacts)は、仕事や価値に関する情報が明確になるよう、透過性を最大化するために存在します。
| 作成物 | 目的 | コミットメント(目標) | 責任者(主な管理) |
|---|---|---|---|
| プロダクトバックログ | プロダクトの改善に必要なすべての作業のリスト。 | プロダクトゴール(長期的な目標) | プロダクトオーナー |
| スプリントバックログ | スプリント中に作成されるインクリメントと、それを達成するための計画。 | スプリントゴール(短期間の目標) | 開発者 |
| インクリメント | 完成した、利用可能な成果。検査可能でなければならない。 | 完成の定義(Doneの定義) | 開発者 |
まとめ:スクラムで「変化」を力に変える
スクラムは、開発プロセスを 「透明化」「検査」「適応」 のサイクルに乗せることで、複雑な開発状況や変化の激しいビジネス要求を乗りこなすためのフレームワークです。
特に、5つの価値基準(確約、集中、公開、尊敬、勇気) をチーム全員が共有し実践することで、スクラムは最大限の効果を発揮します。
このスクラムの考え方は、データ分析の現場においても、データモデルの信頼性や、ビジネスニーズへの対応速度を向上させるための強力な指針となります。ぜひ、このスクラムガイドの基本を参考に、あなたのチームでの開発プロセスを見直してみてください。
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