こんにちは、六本木アナリティクスエンジニアのTaku(@aelabdata )です。

モダンデータスタックという言葉を聞くようになったけど、何だろう?
「モダンデータスタック」の全体像と、AEとして関わることになる主要な技術領域、トレンドについて、まとめてみました。
- モダンデータスタックとは何か? なぜ今注目されているのか?
- データフローを支える主要なコンポーネントとその役割
- アナリティクスエンジニアがモダンデータスタックの中で果たす役割
- モダンデータスタックのトレンド
モダンデータスタックとは?その全体像
「モダンデータスタック」と聞くと、難しそうに聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「クラウド上で最新のSaaSツールを組み合わせて作る、効率的なデータ活用基盤」のことです。
従来のデータ基盤が、自社サーバーにソフトウェアをインストールしたり、カスタムでゴリゴリ開発したりしていたのに対し、モダンデータスタックは、すでに提供されているクラウドサービスやSaaS(Software as a Service)を組み合わせて構築します。これにより、インフラの構築やメンテナンスにかかる手間が大幅に削減され、データ活用のスピードが格段に上がります。
主な特徴は以下の3つです。
- クラウドネイティブ: 全てのコンポーネントがクラウド上で動作するため、高いスケーラビリティと可用性
- モジュール型: 各工程(データ収集、保存、変換、分析)に特化したツールを自由に組み合わせ
- SaaS中心: 複雑な設定なしにすぐに利用開始できるSaaSツールが多いため、運用負荷が低い
まるでレゴブロックのように、必要なピースを組み合わせて理想のデータ基盤を構築できるイメージですね。私の会社でも、まさにこのモダンデータスタックを積極的に採用しています。
モダンデータスタックを構成する主要コンポーネント
モダンデータスタックは、データの流れに沿って複数のレイヤーで構成されています。それぞれの役割と代表的なツールを見ていきましょう。
- 役割: 会社にある様々なデータソース(顧客情報、Webサイトのアクセスログ、営業データなど)から必要なデータを抽出し、次の工程で使うデータウェアハウスにロード(読み込み)します。複雑なプログラミングなしに、API連携などで簡単にデータを取り込めるのが特徴です。
- 代表ツール:
- Fivetran: 150以上のSaaSコネクタを持つ、データ統合サービス。
- Airbyte: オープンソースのデータ統合プラットフォーム。
- 役割: 取り込んだ膨大なデータを、効率的に保存・管理し、分析しやすい形に整理します。データウェアハウスは構造化データに強く、データレイクは非構造化データも扱えます。最近は両方の良いとこ取りをしたデータレイクハウスも注目されています。
- 代表ツール:
- Snowflake: クラウドネイティブなデータウェアハウスサービス。
- Google BigQuery: Google Cloudが提供するフルマネージドなデータウェアハウス。
- Amazon Redshift: AWSが提供するペタバイト規模のデータウェアハウス。
- Databricks: データレイクハウスの概念を提唱し、Sparkをベースにしたプラットフォーム。
- 役割: データウェアハウスにロードされた生データは、そのままでは分析しにくいことがほとんどです。そこで、分析しやすいようにクリーニングしたり、複数のデータを結合したり、集計したりといった加工(変換)を行います。モダンデータスタックでは、先にロードしてから変換する「ELT(Extract-Load-Transform)」という手法が主流です。
- 代表ツール:
- dbt (data build tool): SQLを使ってデータ変換をコード化・バージョン管理できる、まさにAEの中心的ツール。
- 役割: 変換され、分析可能な状態になったデータを使って、ビジネスの意思決定に必要なインサイトを抽出したり、グラフやダッシュボードにして分かりやすく可視化したりします。
- 代表ツール:
- Tableau: 直感的な操作で美しいダッシュボードを作成できるBIツール。
- Looker: Google Cloudが提供する、データモデリングに強みを持つBIツール。
- Power BI: Microsoftが提供するBIツールで、Excelとの連携もスムーズ。
- 役割: 大量のデータを扱う上で、データの品質を保ち、誰がどのデータにアクセスできるかを管理し、データに異常がないかを監視することは非常に重要です。
- 代表ツール:
- Secoda: データカタログツール。
- Monte Carlo: データオブザーバビリティプラットフォーム。
モダンデータスタックの最新トレンドと今後の展望
モダンデータスタックは常に進化しています。いくつか注目すべきトレンドをご紹介します。
- AIとの連携強化: 生成AIの進化により、データ分析の自動化や、より高度な予測分析が可能になっています。データスタック自体もAIとの連携を前提とした設計に変化しています。
- データグラビティの加速: データが特定の場所に集まると、そのデータが持つ引力(グラビティ)が強くなり、関連するツールやサービスもそのデータの周りに集まってくる現象です。これにより、データは企業にとってさらに重要な「核」となり、その周りにテクノロジーが連動する構造が加速しています。
- データガバナンスの重要性増大: データの量が増え、利用者が多様化する中で、データの品質、セキュリティ、プライバシー保護の重要性はますます高まっています。データカタログツールがアクセス権管理機能を取り込むなど、より包括的なガバナンス機能が求められています。
Analytics Engineerとしてのモダンデータスタックとの関わり方
まさに、このモダンデータスタックを使いこなし、会社にデータドリブンな文化を根付かせるのがAEの役割です。
私たちは、データエンジニアが構築したデータ基盤の上で、データアナリストやビジネスユーザーが本当に使える「キレイなデータ」を用意するのが仕事です。具体的には、dbtのようなツールを使って、データウェアハウス内のデータを加工・整形し、誰もが信頼して使えるデータモデルを構築します。
これは、ただSQLを書けばいいというわけではありません。ソフトウェアエンジニアリングの考え方(バージョン管理、テスト、デプロイなど)をデータ変換のプロセスに持ち込むことで、データの信頼性と保守性を高めるのがAEの腕の見せ所です。
データエンジニアとデータアナリストの間に立ち、両者の「言葉」を理解し、データの流れ全体を最適化する。それが、AEの面白さであり、これからの企業にとって不可欠なスキルになります。
おわりに
モダンデータスタックは、企業がデータから価値を最大化するための強力な武器です。そして、その武器を効果的に使いこなし、ビジネス成果に直結させるのがAEの役割。
今回の記事で、モダンデータスタックの全体像と、その中でAEがどのような役割を担うのかを理解いただけたでしょうか。今回触れた各コンポーネントについて、さらに深掘りした記事を書いていこうと思います。
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